講演会・パネルディスカッションの文字起こし後の要約について、お伝えします。
講演会・パネルディスカッションは情報量が多い。
講演会やパネルディスカッションでは、一つのテーマについて、さまざまな角度から話が展開されます。
- 結論
- その背景
- 具体例
- 体験談
- 参加者へのメッセージ
話している本人(講演者やパネラー)にとっては、程度の差はあれど、すべてが「伝えたいこと」です。そのため、要約時に文字起こし原稿を読むと、どこも削れない情報の塊に見えてしまいます。
内容を理解していないと、削る判断ができない
講演会やパネルディスカッションの要約で一番大切なのは、その場で何が一番伝えられていたのかを理解することです。
講演会であれば、「この講演で一番伝えたかったことは何か」。
パネルディスカッションであれば、「参加者にどんな学びを持ち帰ってほしい内容だったのか」。
そこを理解できていないと、どこが本筋でどこが補足なのかの区別がつきません。
結果として、全部大事に見えて削れなくなり、文字数はオーバーしがちになります。
逆に、講演やパネルディスカッションの内容をきちんと理解できていれば、
- 結論に直接関係する話
- 理解を助けるための説明
- 雰囲気作りのエピソード
を分けて考えられるようになります。
要約で残すべきなのは、「その講演・パネルディスカッションの内容が伝わる部分」です。すべてを残す必要はありませんし、文字数の制約上、すべてを残せないどころか、内容が伝わる部分であっても削除しなければならないことが多くあります。内容を理解しているからこそ、「ここは削っても大丈夫」「ここは、本当は削りたくないけど、優先順位は低いので削除しよう」という判断できるのです。
内容を理解する。それはそれで難しい。
内容を理解すると言っても、それを一言で済ませられるほど簡単な話ではありません。
そもそも、講演やパネルディスカッションで話しているのは、その道の有識者です。長年の知識や経験をベースにして話しているわけで、前提としている情報量が、そもそも違います。話している本人にとっては常識でも、聞く側にとっては初めて聞く考え方や専門用語も多い。内容を追うだけでもかなり頭を使います。
もちろん、クローズドな専門家向けなのか、市民も参加できる公開講座のようなものなのかで、難易度には差があります。ただ、「一般向けだから簡単」というわけでもありません。市民向けとされている講演でも専門用語は普通に出てきますし、前提知識がないと話の重要度が判断できないこともあります。
ここで大事なのは、「理解=専門家と同じレベルになる」ことだと思わないことです。
要約に必要なのは、細かい専門知識を完全に消化することではなく、
「この講演・勉強会は、結局何を伝えようとしていたのか」
「参加者に、何を持ち帰ってほしかったのか」
そこをつかむことです。
全体の目的や軸が見えてくると、話の中での重要度も、少しずつ整理できるようになります。そして、その整理ができてはじめて、「ここは残す」「ここは削る」という判断ができるようになり、結果として文字数も調整しやすくなっていきます。




