2024/04/12
この種の説明は書籍などでよく見られますのでそちらにお任せして、
ここでは、当社が長く半構造化インタビューの文字起こしに携わっている経験から
半構造化インタビューとは?
についてメリットとデメリットを交えてお伝えしたいと思います。
規則性と柔軟性の両面を持つ
構造化インタビューは準備した質問項目を元にインタビューをします。質問の規則性があるため、インタビューがしやすいというメリットがありますが、準備した質問の域を出ないため、硬直した内容になりがちです。
非構造化インタビューは、事前に質問を準備せず(と言ってもまったくフリーハンドというわけではありませんが)にインタビューをします。柔軟性があるため、さまざまな角度から質問ができ、それに対する回答を得られますが、規則性がないため、かなり聞き手(つまり、あなた)のインタビュー能力任せになります。
いっぽうで、半構造化インタビューは、準備をした質問項目(インタビューガイド)に加えて、質問を追加し、派生させるなどするため、インタビューに規則性と柔軟性、その双方を持たせることができます。
規則性があることで、インタビューの規律が守られますし(本筋を見失うことはありませんし)、柔軟性があるため、たとえば、何気ない日常会話も生まれ、そこから本題の核心部分が語られるなどの利点があります。
話しやすさと話しにくさ
インタビューは人対人です。
聞き手のインタビュー能力も関係しますし、回答者が協力的な姿勢であるのかや、お話好きかそうでないかにもよります。また、その日の体調もあるでしょうし、聞き手と回答者の相性もあります。つまり、その時によって話しやすい状態である場合と、そうでない場合とがあります。
その点、半構造化の場合、固定された質問が準備され、回答者にも事前に配布されていますので、「話のとっかかり」として有効です。
聞き手と回答者の性格が左右する
インタビュー能力とか技術とか言いますと、努力や経験で身に付けるものですが、それよりももっと人間的な、例えば、社交性が高いとか、話好きかそうでないかとか、初めて会う人と話すときに緊張するかしないかなど、聞き手、回答者を問わず、その人の性格の部分がインタビューを左右します。聞き手も回答者も、超がつくくらい「はにかみ屋さん」でしたら、なかなかお話が進みませんもんね。
その意味で、上記の柔軟性に関連しますが、高い柔軟性を得るためには、聞き手と回答者双方の性格が関係するのではないかと思います。
質問項目が、とても大切
ここまで触れてきたように半構造化インタビューには質問項目が存在します。つまり、インタビューガイドです。
インタビューガイドを作ろうと思うと、自分がいま行っている研究から逆算して、何を聞けばいいかを想像&創造することが必要になります。自分の中で「何を知り得たいのか」「このインタビューの目的は?」このあたりを明確にしておかないと、質問項目にぶれが出てしまいます。
ということは、質問項目を作成している段階ですでに質的研究はスタートしており、インタビューも4割方終えているとまで言うと言い過ぎですが、しかし、2割くらいはインタビューが進捗していると考えても差し支えないのではないかと思います。
質的データを得られる。では量的データは?
最後は少し余談ですが、半構造化インタビューでは質的データに加えて量的データも得られるという考え方があるようです。固定された質問があるためです。
ですが、これはちょっと、どうなのかなと感じます。と言うのも、インタビューを、アンケート調査のように100人規模あるいは1000人規模で行うことは(ほぼ確実に)ありませんので、たとえば20人にインタビューした場合、その内容を量的データとするのは、それにしても母数が小さいのではないか、と。
得られるデータとしては、質的データのほうが有意であるのかなと思います。