2020/08/08

昨日、ライフストーリーのインタビューのテープ起こしについて、お問い合わせをいただきました。
いわゆる質的研究の素材づくりで、お客様は心理学の研究をしている方でいらっしゃるようです。(メールの文体が柔らかかったので、大学院生かな)
で、お客様はテープ起こしを依頼するのは今回が初めてだったようで、文章化の仕方を迷っていらっしゃったようです。
当社では、大きく下記の文章化の仕方をご準備しています。
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そのままテープ起こし
言語研究などに用いられる。業界では「素起こし」と呼ばれているが、カッコ悪いので当社では、音声そのまんまを文章化するという意味でそのままテープ起こしと言ってる。分かりやすい。
ケバ取りテープ起こし
「ケバ」と呼ばれるそれ自体意味を持たない言葉を文章化せず、それ以外は話したままを文章化するもの
整文テープ起こし
ケバ取りテープ起こしから、文章を整えて読みやすくするもの。話のニュアンスは変わるが、意味は変わらないのが特徴。
要約テープ起こし
発言内容そのままではなく要約する。整文は「整える」が、要約は発言内容を元に、その発言は残しながらサマライズしていく。話のニュアンスがかなりかわるが、かなり圧縮できるので、媒体掲載や報告書として使える。
あとちょっと毛色は異なりますが、
看護研究用の逐語録作成、コード化・カテゴリ化
これは看護の学問領域のの質的研究の素材として用いられるもの。逐語録(文字起こし)の作成に留まらず、コード化・カテゴリ化まで一貫して対応するのが特徴。看護学部の先生、院生ウハウハ(だって素材づくりに時間をかけずに発注したほうが賢いですもの)
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ちょいと紹介が長くなりましたが、お客様は、はじめ「そのままテープ起こし」をご希望でいらっしゃったのですが、心理学研究の素材のライフストーリーのインタビューには馴染まないと思い、ケバ取りまたは整文をお勧めしました。
お客様は、「よく分らないので、こんな感じで作ってほしいんです」と、参考として、何かのレポートか本のライフストーリーのインタビューの文章の作り方が書かれたページをスキャンしてお送りいただきました。
それを見てみると、ちょっといびつな作りに感じました。
と言うのも、その参考例には、ケバ(それ自体意味を持たない言葉)が文章化されており、それでいて、発言全体が結構整えられていて「読みやすかった」からです。
当社の基準で言えば、そのまま整文テープ起こしといったところでしょうか。
気になったのは、発言全体が結構整えられていて「読みやすかった」点です。
読みやすかったらいいんじゃないのとお感じになるかもしれませんが、読みやすいということは、元の発言にかなり手を加えているはずなんです。つまり話したものではなく、読むものになっていたということです。
で、この場合、上述したように、話のニュアンスが変わるんです。たとえば、
「あれは、とっても美味しいですね」
「あれはとても美味しいです」
ほら、なんか前者のほうがより美味しいと思っているように見えるでしょ。
手を加えることでその辺のニュアンスが、変わってしまっているんですね。
この種の質的研究のためのインタビューの難しさ(長くなるのでここでは端折ります。ここに詳しくかつ理解しやすく書かれています 私のライフストーリー論 https://storys.jp/story/8045)もありますし、ニュアンスが変わるのってなんだか良くないんじゃないのかなと思いますが、まあ言語学ではないので、インタビューイが言ったことが変わっていなければいいんでしょうかね。
お客様が送ってくださった例は、その道で著名な学者さんが書いているようですので(1ページだけスキャンしてるので分からないけど、参考文献などを見る限りだとたぶんそうだと思う)、それはそれでいいのかなとも思います。
ちなみにこのお客様。
「丁寧にご回答いただき恐縮ですが、御社より安い業者に発注します。すみません」
とご連絡がありました。
「原稿レベルを考えたらうちのほうが圧倒的に高コスパやで、お客様」と心の中で言いました。
まあ、しゃあないですね(笑)
もし今度、やっぱりうちのほうが良いと言って、出戻ってきたら、、、、とても好意的にお迎えます(笑)ウェルカムです!